ビットコイン×利息=破綻 理解すべきたった1つの前提

2017年は仮想通貨元年といわれています。様々なコインが短期間で何倍、何十倍といった価値を持ったり、新しい通貨が続々と生まれたり、まだまだ怪しいという意見が世間の大半ではありながら、確実に浸透していっているように見えます。

全体像を理解するのがなかなか難しい仮想通貨の世界ですが、技術に明るくない方にもたった1つだけ、ご理解いただきたい前提があります。

 

日利N%(笑) HYIPは最初から破たんしている

仮想通貨そのものが勢いづいていく一方で仮想通貨と絡めた詐欺やギャンブルのような案件も一時のほどの勢いはなくなりましたが、今日現在も案件が出てきては消え、を繰り返しているようです。

一般にHYIPともいわれている日利N%などという超高利回りの案件。

最終判断は自己責任ですが、基本的には手を出さない方が良いものです。どうしても手を出してみたい場合は捨てるつもりの金額でやってください、という他ないですが、手を出す前に念頭においてほしいポイントがあります。

 

そんな美味い話があるわけがない、ということではありません。

 

ビットコインに利息がつく、というのは発想の前提が破綻しているということです。

 

ある村の経済モデルのお話

 

ビットコインでは全体像が壮大、複雑でイメージが付きにくいかもしれませんので、単純化して考えます。

 

あるところに30人の小さな村がありました。その村は外部との関わりは全くなく、その村だけで経済が回っています。村では「秘密の貝殻」が通貨として使われています。貝殻は現在世界に100枚しか存在せず、今後新たに発掘されることもありません。

 

そんな村に漁師さんがいました。この漁師さん、腕はいいけれどちょっとお金の使い方にだらしない。ことあるごとに、隣に住む農家にお願いをしに行きます。

 

ケース1:

漁師「ちょっと、10日くらい貝殻を5枚貸してくれないかな?次の漁で取ってきた魚を1匹タダであげるから。」

農家「うーん、またか。仕方のない奴だ。魚を2匹タダでくれたら貸してあげるよ。」

漁師「わかった!助かるよ!」

 

これはまだこの世界の中で成り立っています。

では、次のケースはどうでしょう。

 

ケース2:

漁師「ちょっと、天候が不調でさぁ。また10日くらい貝殻を5枚貸してくれないかな?次の漁で取ってきた魚を…」

農家「おいおい、もういい加減にしろよ。10日後に6枚返してくれるなら貸すよ。」

漁師「ありがとう!もうこれっきりにするよ!」

 

僕たちの社会でも常態化している「利息」という考え方ですね。

しかし、この瞬間、この村の経済モデルは破綻したことにお気づきでしょうか?

 

ケース1では、貝殻5枚を貸す対価は魚2匹でした。この場合、世界に存在する貝殻が100枚という前提は崩れていません。

しかし、ケース2ではこのやり取りが行われることで、貸した対価として貝殻が1枚増えることになるので、貝殻が理論上101枚存在することになります。もちろん、実態は100枚しかありません。

 

短期的には、漁師は次の漁で貝殻6枚以上を調達し、農家に返すことが出来るでしょう。しかし、もしこれが常態化した場合、理論上存在する貝殻の枚数はどんどん増えてゆきますが、実態が100枚という前提は絶対に崩れません。

例えば、同じレートで「50枚貸して60枚返してもらう。」なんて取引がどこか2か所で行われていたら、その時点でパンクしてしまいます。

 

「数に限りがあるもの」×利息=破綻

 

話をビットコインに戻します。現在全世界で使われ始めているビットコインと、クローズドな経済で使われている秘密の貝殻は異なるものですが、

「存在できる上限数が同じ」

という点において同一の考え方が出来ます。

 

ビットコインが「日利N%」などという話は最初から破綻しているということです。

利息が付いても表面上破たんしない理由は、利息だと思って受け取っているものが誰かのビットコインであり、引き出せなくなるか、運営が持ち逃げするかをすることで、現実世界のビットコインの総量と調整がつくわけですね。

現実に存在するビットコインも、詐欺案件で表示されている数字も、同様の「画面上の数字」ですが、その正体は全く別である、ということに気付きにくいのが仮想通貨の罠でもあります

ビットコインの総量は途方もない数字なので、見えにくいのですが、万が一そんなシステムが永続した場合、どこかで歪みが生じることになります。

 

※何故、法定通貨では利息が成立するのか、ということを解説すると途方もない量になってしまうのでここでは割愛しますが、法定通貨の発行量は上限数が決まっているわけではない、ということはイメージしやすいかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?前提が破綻しているから、といっても上手いタイミングで逃げれば儲かる可能性もありますし、だから絶対にやってはいけない、とまでは言えませんが、どうしても手を出したければ、こういった大前提は頭に入れたうえで、参入することをお勧めします。

 

(この記事を書いた人)

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マエダユウタ

九州在住のサラリーマン 投資家として株式、仮想通貨、不動産を扱う傍ら、ライターとしても活動。また、投資の初心者向けにセミナーや塾なども展開している。

 

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